抄録
65名の大学生を身体的な慢性緊張の有無とそれに対する気づきの有無によって,「気づき群」,「非気づき群,「非緊張群」に分け,心身の体験の仕方の違いを検討した。自己像質問紙やY-G検査,ロールシャッハ・テストの結果から,「非緊張群」は自分の内的な基準に従って行動し,感情の統制や心理的な葛藤の統制に優れていた。TSTでは,「気づき群」が身体感覚や自律系に関する反応を多く示し,このことと高い・ミリアー得点の間に関連があった。筋弛緩に対する反応に関しては,「気づき群」と「非緊張群」は,弛緩感覚を受容し,心身の良好な変化を体験したが,「非気づき群」では心身の状態の悪化を体験した。これらのことから,身体的な慢性緊張の有無およびそれに対する気づきの有無は,心身の体験の仕方と密接に関係することが示唆された。キーワード:慢性緊張への気づき,弛緩に対する反応,心身の体験