行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
とけあう体験の援助による脱感作法 : とけあい脱感作法の試み
今野 義孝
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 23 巻 1 号 p. 29-38

詳細
抄録

最近の研究によると,脱感作法による不安や衝動の抑制は単に逆制止のメカニズムによって生じるものではなく,不安や衝動に対する認知的な態度の要因によるものと考えられる。そうした要因の1つとして,不安や衝動に対してニュートラルな態度で向い合い,それらを見つめることの重要性が指摘されている。筆者は,そうした態度を促進するものとして,動作法の「とけあう体験の援助」を用いた脱感作法(「とけあい脱感作」)を考案した。本研究では,「とけあい脱感作」を注射に対する恐怖を訴える男児,抑うつ症状を訴える女性,震災の後遺症に悩む女子学生,指の自傷に悩まされる男児,それに性的な衝動に振り回されている男子に試みた。その結果,どの事例においても,きわめて短期間の治療において,主訴の改善が認められた。

著者関連情報
© 1997 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top