抄録
本研究の目的は,抑うつ気分と不安気分と肯定的気分を表現する形容詞,形容動詞,形容詞句を用いることによって,抑うつ気分と不安気分の弁別的妥当性の高い質問紙を開発し,その妥当性と信頼性を確認することであった。抑うつ気分と不安気分と肯定的気分を表現すると考えられる項目選択と,それらの項目についての因子分析の結果,9項目からなる「DepressionandAnxietyMoodScale(DAMS)」が作成された。平行検査法と再検査法による検討の結果,DAMSの各尺度は収束的妥当性も弁別的妥当性も信頼性も高いことが示された.また,平常期間とストレス期間(テスト期間)のDAMSの各尺度得点の比較の結果,DAMSは気分の変化も鋭敏に捉えることができることが示された。これらの結果から,DAMSは抑うつと不安の両者を包含した認知行動モデルの研究に非常に適していることが示された。