抄録
本研究では,紋切り的な会話形態を用いる自閉症児を対象に,訓練室において終助詞(「〜ね」,「〜よ」)を付加した報告行動の形成訓練を行った。ここでは,終助詞の機能分析(「〜ね」は情報共有機能,「〜よ」は情報提供機能)に基づいた訓練プログラムを作成・実施した。また,訓練室における標的行動の獲得後,対象児の家庭において終助詞使用の測定を行った。訓練室での形成訓練の結果から,視覚刺激に対する反応形成により終助詞が分化し,情報の共有・提供という条件に合致した言語反応が生起したことが推察された。また,訓練室で形成した終助詞は,家庭における比較的自由な場面においても観察されたことから,訓練プログラムの有効性が示唆された。