抄録
本研究では,「とけあい脱感作法」によって短期間に症状が改善した2事例について報告した。事例1は中学時代からあがりと手の震えを訴えていた23歳の不安神経症の女子学生,事例2は2週間前から失声症を呈した19歳の転換反応の女子学生である。事例1は,「とけあい脱感作法」によって発表に対する予期不安が改善するにつれて,課題達成後の不全感が「完壁への欲求」によるものであることに気づくようになった。さらに,課題達成後の不全感に対して「とけあい脱感作法」を試みたところ,クライエントは「完壁への欲求」から解放され,あがりや震えも改善した。事例2では,「とけあい脱感作法」によって悪夢への予期不安やポケベルへの恐怖が改善した。それにともなって,症状の背後に「過剰な自責感」があることに気づき,不安への現実的な対処が可能になり,失声症も改善した。