2000 年 26 巻 1 号 p. 15-24
本研究では、集団SSTを通して学級内の仲間関係が改善されるかどうかを検討するために、小学2年生の児童を対象にして学級を単位とした3セッションからなる集団SSTが行われた。標的スキルは、適切な働きかけと応答であった。訓練は、教示、モデリング、行動リハーサル、フィードバック、強化からなるコーチング法の手続きに従って行われた。その結果、訓練群の児童は、統制群の児童よりも訓練前から訓練後にかけて、社会的スキル得点が有意に増加し、引っ込み思案得点が有意に減少した。また教師による社会的スキル評定においても、訓練群の得点が訓練後に有意に増加していることが確かめられた。さらに、好意性指名得点は、訓練群のみ訓練後に得点の増加が認められた。これらの結果から、集団SSTは、社会的スキルの獲得を促進するばかりでなく、仲間に対するポジティブな見方を高めることが明らかにされたといえよう。