本研究は重度知的障害のある児童2名を対象とし、見立て遊びを指導し促すことによって発語行動がどのように変容するか検討することを目的とした。指導1-1で「焼きそば」、指導1-2で「カレーライス」「魚焼き」「サンドイッチ」および「目玉焼き」に従ってふり動作の系列を遂行するように、言語教示、動作の示範、動作を言語化の手続きにより指導した。指導2ではさらに「歯磨き」等のスクリプトを新たに加えた。対象児が遊びを開始するのを待ち、ふり動作を行ったときに対象児の動作を言語化する指導手続きを中心にした。指導1〜2の結果、両対象児は見立て遊びを自発するようになった。発語の系列化といった形態面での変化はなかったが、この見立て遊びの進展に伴い、言語面では発話の機能が多様化する傾向が認められた。