抄録
本研究の目的は、児童の非機能的態度を測定する尺度(DAIC)を作成し、非機能的態度が抑うつ症状と不安症状にどのような影響を与えているか検討することであった。まず、調査1において、小学校4年生から6年生までの451名にDAICを実施した。探索的因子分析の結果、児童の非機i能的態度には、「破局的・絶望的態度」と「賞賛・承認希求的態度」の2因子があることが明らかにされた。また、DAICは、ある程度の信頼性と妥当性を有することが確認された。次に、調査IIにおいて、小学校4年生から6年生までの617名を対象に、児童の非機能的態度が抑うつ症状と不安症状に与える影響について検討した。その結果、破局的・絶望的態度は抑うつ症状と不安症状を促進するものの、賞賛・承認希求的態度は抑うつ症状とは関連をもたず、不安症状に対してのみ促進的影響を及ぼしていることが示唆された。以上のことから、児童の非機能的態度の変容を目標とした認知行動療法的介入についての留意点が議論された。