抄録
本研究の目的は、児童期不安症状の認知行動モデルを構築することであった。研究1の対象者は小学生546名であった。偏相関分析の結果、ストレッサーを統制した場合、認知変数は不安症状と関連がみられたのに対して、認知変数を統制した場合、ストレッサーと不安症状には関連がみられなかった。研究IIでは小学生550名であった。共分散構造分析の結果、「友だちとの関係」「学業」→「認知の誤り」→「ネガティブ自己陳述」→「不安障害傾向」→「分離不安」「パニック傾向」「心配」「特定の恐怖」「強迫傾向」というモデルの妥当性が確認された。本研究の結果、認知変数が不安症状に影響を与えることが示唆された。本研究の結果から、児童の認知の誤りやネガティブ自己陳述に働きかけることが、不安症状の改善をもたらすことが示唆された。