抄録
本研究の目的は、高校生の認知する親からの期待が強迫傾向にどのような影響を及ぼすかを検討することであった。高校生309名に対して、親の期待を測定する尺度、認知した親の期待への好悪評価、強迫傾向を測定する質問紙を実施した。またその保護者238名に、親の期待を測定する尺度を実施した。認知された親の期待と、それへの好悪評価のパターンによって高校生の親子のペアを5つのクラスターに分けた。親の期待を非常に大きく認知し、それに対して大きな嫌悪感を抱いているクラスターとその他4つのクラスター間すべてにおいて強迫傾向得点に有意差がみられた。しかし、5つのクラスター間で実際の親の期待には差はみられなかった。