2009 年 35 巻 1 号 p. 67-81
本研究では、3名の自閉症児の事例を通して、大学生に機軸反応訓練(Pivotal Response Treatments:PRT)を指導することにより、遊び場面で自閉症児と適切な相互作用を形成することができるかを検討した。大学生と自閉症児が1対1のペアとなる遊び場面を設け、4名の大学生に対して教示、モデリング、ロールプレイ、パフォーマンスフィードバックを用いてPRTの指導を行った。標的行動は自閉症児の社会的行動(相互作用行動と働きかけ行動)と大学生のPRT行動とし、遊び場面における標的行動の変化を観察した。その結果、3名の大学生のPRT行動は増加し、さまざまな遊びを通して3名のうち2名の自閉症児との相互作用を形成することができた。相互作用が増えても自閉症児からの働きかけ行動を引き出すことができなかったことは、今後の課題として残された。