抄録
本研究の目的は、情動ストループ課題とプローブ検出課題のそれぞれによって測定される注意バイアス指標の収束的妥当性を検討することであった。健常な実験参加者(n=39)に、情動ストループ課題、プローブ検出課題、状態-特性不安検査を実施した。本研究では、情動ストループ課題においては単語タイプをブロック化して呈示する手続きを、プローブ検出課題においては中性語ペアが呈示される試行のプローブへの反応時間を基準として、脅威語に注意が向けられる傾向と、脅威語からの注意の解放が困難となる傾向を切り分ける手続きをそれぞれ用いた。相関分析の結果、情動ストループ課題にみられる脅威語への色命名の遅延が、プローブ検出課題においてみられる脅威語からの注意の解放の困難さと関連していることが示された。ただし、それらと不安との関連はみられなかった。これらの結果から、両課題で測定される注意バイアスの解釈について議論した。