行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
幼児の集団社会的スキル訓練 : 訓練前の特徴に焦点をあてた効果の検討(実践研究)
岡村 寿代金山 元春佐藤 正二佐藤 容子
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 35 巻 3 号 p. 233-243

詳細
抄録

本研究では、集団社会的スキル訓練を78名(男子43名、女子35名)の幼児に実施し、その効果を検討した。その際、訓練前の社会的スキルの程度によって社会的スキルの高群、中群、低群の3群に分類し、どのような特徴をもつ幼児に訓練効果がみられるかの検討を行った。3つの標的スキル(上手に聞く、仲間入り、あたたかい言葉かけ)を訓練するために、6〜8セッションからなる集団社会的スキル訓練が行われた。訓練は、教示、モデリング、行動リハーサル、フィードバック、強化からなるコーチング法の手続きに従って行われた。自由遊び場面へのスキルの般化を促進するために、教室でのスキル訓練と自由遊び場面でのスキル訓練を交互に繰り返す訓練プログラムを計画した。その結果、自然な自由遊び場面での行動観察のデータによれば、社会的スキル低群と中群において協調的行動の増加が認められた。また、担任教師による社会的スキル評定によれば、社会的スキル低群において、社会的スキル領域総得点および社会的働きかけスキル得点の増加が見いだされた。これらの結果から、本研究で実施された集団SSTは、社会的スキル低群だけではなく、すでに社会的スキルを獲得している中群にも有効であったことが示された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top