2010 年 36 巻 1 号 p. 15-27
本研究の目的は、自己陳述を用いて、中学生が学校対人場面で考えている内容を明らかにし、自己陳述と心理的ストレスとの関係性を検討することである。対人ストレス場面6場面、全60項目からなる中学生の学校対人ストレス場面における自己陳述2次調査票が作成され、914名の中学生を対象に実施された。因子分析の結果、ポジティブな自己陳述は、状況を肯定的に評価するもの、ストレス状況に対処するもの等を中心に構成されており、ネガティブな自己陳述は、自己・他者・状況を否定的に評価するもの、不安感情を表したもの、自己の責任を回避するもの等を中心に構成されていた。また、自己陳述の頻度の高低によるストレス得点の差を∫検定で検討した結果、自己陳述の頻度の高い群が低い群よりもストレス得点が有意に高く、自己陳述の内容にかかわらず、自己陳述を行う頻度の高い人がストレスも高いことが示された。