2012 年 38 巻 2 号 p. 117-129
本研究では、小学校の通常学級を対象とした行動コンサルテーションの効果を検討することを目的とした。コンサルタントは著者であり、コンサルティは学級担任、クライエントは対象学級および、特別な教育的ニーズのある児童Aであった。対象学級は小学校2年生28名の学級であり、Aの私語をきっかけとして周囲の児童が同調する、Aを含めた数名の児童が授業開始時に着席していないといった状況があった。コンサルタントが教室内の行動観察に基づき、支援の提案、助言を行ったところ、コンサルティは、(1)「人の話がおわるまでかってにはなさない」、「はじめる時こくにせきにつく」といった二つのめあて(目標設定)の呈示、(2)ポイント制、(3)口頭による注意、(4)教室内のルール確認、という四つの学級支援を行った。結果として、Aのon-task行動が増加し、学級全体の私語が減少したことが明らかとなった。