行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
実践研究
治療進行中に希死念慮を訴えた抑うつ状態にある患者にACTが奏功した一事例
入江 智也横光 健吾北田 隆義中江 重孝
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2016 年 42 巻 2 号 p. 163-174

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抄録

本報告は、抑うつ気分を訴え来院した32歳男性に対し、医療機関においてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づく介入を実施した症例報告である。過去の出来事に対する後悔や将来の悲観に伴い、機能的な活動が制限されていると考えられたため、マインドフルネスを中心としたトレーニングを行った。しかしながら、突発的なストレッサーに伴い、希死念慮を含む抑うつ症状の悪化が認められたため、薬物療法を含む希死念慮に対する介入を行った。このことから、不快な私的体験のコントロール・アジェンダが維持または強化されている可能性が考えられたため、改めて創造的絶望のプロセスを実施したうえで価値のワークの介入を行った。その結果、再就職をはじめとした活動レパートリの増加が認められ、結果として症状の緩和が認められた。本事例から、医療機関においてACTを適用するための必要条件について考察する。

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© 2016 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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