本稿の目的は反応の変動性を低下させる場面での自己選択反応やそれ以外の選択可能な反応の提示が反応の変動性に及ぼす影響を検討することであった。対象者は大学生118名であった。対象者をそれぞれ対照群とS群(自己選択反応提示群)、E群(自己選択反応以外提示群)、A群(選択可能な全反応提示群)、O群(自己選択反応とそれ以外の一つの反応提示群)、N群(反応提示なし群)にランダムに分けた。対照群以外には反応の変動性を低下させるゲームを3回実施し、ゲームが1回終了するごとにN群以外に反応の提示を行った。その後、変動性が高いと高得点が得られる変動性測定用ゲームを実施した。その結果、S群、E群、A群には対照群と同様の高い変動性がみられたが、O群とN群は対照群よりも変動性が低くなった。臨床場面においてはクライエント自身の選択反応と選択していない反応が明確にわかる反応提示が、行動変動性を低下させないことが示唆された。