2016 年 42 巻 2 号 p. 257-265
近年、不登校の治療において機能分析に基づくアセスメントと介入が注目を浴びており、Kearneyらは不登校行動を四つの機能に大別している。本稿で報告する2事例は、不登校行動がもつ機能に注目してアセスメントを行った結果、否定的感情を喚起する学校関連刺激からの回避、社会的・評価的状況からの回避という機能を共通して持っていると想定された。これに対して共通してエクスポージャーやSSTを行い、事例1に対しては認知的介入も行った結果、学校に対する不安感が減少し、再登校が可能になった。同じ機能をもつ2事例の比較を通して、エクスポージャーやSSTの有用性についてや、どのような事例の差異に注目して技法を選択・運用していくかについて、考察を加えた。