2017 年 43 巻 1 号 p. 39-48
本研究では、評価不安の高いうつ病の外来クライエントとセラピストとの相互作用に焦点を当て、機能分析に基づく介入の効果を検討した。評価不安低減のためのクライエントの行動が職場と面接場面の両方で生起した。具体的には、負荷の大きな活動を行うこと、相手の意見に合わせることである。まず、セラピストは嫌悪刺激の呈示を控え、クライエントの強化内在型の行動の増加を目指した。その結果、負荷の大きな活動の頻度は安定し、自発的な活動の種類が増加した。その後、セラピストがクライエントに不安喚起刺激を呈示し、主張行動を促し、それを興味を持って聴くという反応を随伴させた。その結果、クライエントの面接場面での主張行動は増加し、仕事場面でも生起した。本研究の結果から、評価不安の高いうつ病の症例において、治療初期から治療関係をターゲットに機能分析的介入を行うことが有効である可能性が示された。