行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
原著
不安のコントロール感が社交不安症状におよぼす影響―三つのタイプの安全確保行動を媒介変数として―
荒井 穂菜美青木 俊太郎石川 信一坂野 雄二
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2017 年 43 巻 2 号 p. 127-135

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抄録

不安のコントロール感は不安症共通の心理学的脆弱要因である。そして、不安のコントロール感は安全確保行動を介し、社交不安に影響をおよぼすことが示唆されている。しかし、これまでの研究において過活動、制限行動、身体症状を隠す行動という三つのタイプの安全確保行動の媒介効果について実証的に検討を行った研究は存在しない。そこで本研究では、不安のコントロール感から社交不安への影響に対する過活動、制限行動および身体症状を隠す行動の媒介効果について検討を行った。対象者は、174名の大学生であった。媒介分析の結果、三つのタイプの安全確保行動の媒介効果および間接効果が有意であった。本研究の結果から、不安のコントロール感の低さから安全確保行動が生起し、結果として社交不安が維持されるという経路が確認された。本研究の結果から、今後社交不安の軽減を目的とするうえで、不安のコントロール感と安全確保行動の存在の重要性が示された。

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© 2017 日本認知・行動療法学会
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