抄録
悪性腫瘍に起因する痛みは困難であり,心理的葛藤な問題が屡々みられる。われわれは20例の痛みをもつ末期症患者に心理テストを用いた。患者を葛藤と心理機制の度合によって3群に分けることが出来た。そのうちグループ(2)グループ(3)の症例は不安が強く,抑うつ的であり,心理的適応の困難がある。そこでわれわれはこのような症例には気分を昂揚させるような精神療法を行ない,成功している。次に悪性疼痛に関連した術後慢性疼痛患者の2例を紹介する。眼窩部および測頭部痛であり,第1例は術前から不安が高く,性格も未熟で,夫に強く依存していた。第2例は医師が痛みの原因をくわしく説明したことが明らかになった。これらの症例に筋弛緩法や筋電図バイオフィードバック療法,精神療法を行なって改善した。