日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
本邦の若年成人における冠動脈硬化症の危険因子
小幡 明博豊嶋 英明林 千治田辺 直仁佐伯 牧彦宮西 邦夫船崎 俊一和泉 徹柴田 昭
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1991 年 26 巻 2 号 p. 87-93

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抄録
若年発症の冠動脈硬化症に対する危険因子を明らかにするために, 40歳以下の虚血性心疾患患者45例を患者群 (CAD群) とし, 新潟市郵政職員の正常男性から年齢を照合させて抽出した90例を対照群として患者・対照比較研究を行なった。CAD群の入院時の結果及び, 対照群の健康診断時の結果を比較検討に用いた。
この結果, (1) TC値は対照群183±31mg/dlに比べCAD群213±38mg/dlとCAD群で有意に高値であり, HDL-C値は対照群51±12mg/dl, CAD群35±14mg/dlとCAD群で有意に低値であった。 (2) 冠危険因子としては, 糖尿病, 低HDL-C血症, 喫煙, 高血圧, 家族歴, 高コレステロール血症が有意なオッズ比を示した。各因子間の交絡を調整した結果も考え合わせると, 糖尿病, 低HDL-C血症, 喫煙が最も重要な危険因子と考えられ, 高血圧はこれらに次いで重要な危険因子であった。 (3) CAD群におけるHDL-Cの低値は, よく知られている喫煙, 肥満, 飲酒による影響のみでは説明できず, これらの環境要因以外の他の要因によるHDL-C低下の重要性が示唆された。
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© 社団法人 日本循環器管理研究協議会
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