日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
和歌山県における高血圧患者の初診時の実態
個人開業医と総合病院の施設分類別による検討
大森 久司羽野 卓三久保 隆史西尾 一郎伊藤 周平中谷 俊生
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2000 年 35 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
1997年2月, 和歌山県医師会内科医会に属する個人開業医 (医院), 総合病院 (病院) を対象に, 高血圧患者の初診時における原因検索あるいは標的臓器障害の評価のための検査とその所見, 治療開始時の血圧, 生活習慣改善指導の状況についての実態調査を行った。アンケート方式の調査を行い156施設から7647症例の回答を得, これを施設分類別に比較検討した。医院では女性の受診率が高かった。初診時に施行された検査のうち, 心電図, 胸部X線, 尿検査は医院, 病院ともに7割以上施行されていたが, 心臓超音波検査 (心エコー) は病院で55.1%, 医院では15.7%と低く, 眼底検査は, 各々25.7%と24.6%と低かった。これらの検査で有意所見を認める割合はいずれの検査においても病院の方が医院に比較し有意に高かった。初診年が1996年以降の場合でも同様の結果であった。生活習慣指導については, 減塩指導が医院93.2%, 病院96.2%と最も多かった。運動療法と肥満の改善は, 各々78.3%と75.3%, 69.7%と79.1%であった。禁煙指導は病院で74。8%であるのに対して, 医院では45.1%と低値であった。減塩指導, 肥満改善指導, 禁煙指導は病院で多かったが, 運動療法は医院で多かった。1996年以降の例についてみた場合, 減塩指導と肥満改善指導では差がなく, 運動療法は医院で多く, 禁煙指導は病院で多かった。
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