2003 年 38 巻 1 号 p. 26-33
横浜市 (人口約342万人) では、高齢化の進展に伴い、救急搬送患者数が急激に増加している。循環器疾患を原因とした救急搬送も同じく増加傾向にある。循環器疾患に対する救急医療には、専門的な知識・技能が要求されることが多く、救急患者数の増加は、受け入れ救急医療機関への影響が大きい。本稿では、横浜市における循環器疾患を原因とした救急搬送の需要について分析し、その救急医療需要の推移について予測を行なった。その結果、循環器疾患による救急搬送患者数は、2015年には、2001年現在の1.4倍、2030年には1.7倍に達すると予想された (中位推計) 。循環器疾患の救急医療需要は、都市の人口の高齢化に伴って、今後急激に高まると考えられる。社会の高齢化に適応できる地域救急医療システムについて検討を重ねる必要がある。