2020 年 57 巻 2 号 p. 2_37-2_54
本稿は,エストニアの体制移行期(1989~1995年)において,さまざまな副業保有動機に焦点をあて,主として副業経験が転職行動を促進するか否か実証的に検証した.実証結果では,副業保有が転職行動を抑制する効果が観察された.しかしながら同時に,①副業保有が職階上昇を伴う転職行動を促進する,②本業と異職種の副業を保有する就業者が,職階移動を伴う転職をしやすい,という効果も観察された.また,転職行動全体に対する副業保有の負の効果は年々縮小する傾向がみられた.