比較経済研究
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特集:国家ガバナンスと企業行動Ⅱ:中国
中国共産党の中国に対する「領導」はどのように実現されたか
―中国の統治構造の実態と課題―
熊 達雲
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2023 年 60 巻 2 号 p. 2_15-2_32

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抄録

中国共産党の中国に対する統治メカニズムは,まず憲法・法律に基づいて国を統治し,同時に共産党の党内法規に基づいて共産党員を管理する.次に,全国人民代表大会を経由して間接統治を実行する.第三に,政治協商会議を生かし,共産党支配の広範な代表性と正当性を強化する.第四に,地方に対する統治は共産党の系列党委員会と各地方の国家機関を通じて実施する.現実には,共産党は戦略の設計と重大な方針・政策の制定に力を入れているが,国家統治の具体的な事務は各種の国家機構に責任を持って実施させており,共産党は実事求是の思想・理論を堅持し,「大衆路線」,漸進主義と実験主義,学習型政党の整備などの方法を運用して統治を実施している.一方,中国では「立憲党主論」や「党主導立憲制」などの理論を提唱し,共産党の統治体制をさらに規範化し,現代の憲政システムの中に組み入れようとする学者もいる.

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© 2023 比較経済体制学会
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