市場経済移行と経済開放は,旧社会主義諸国の研究開発体制に変革を迫ってきた。本稿は,中欧諸国に焦点を当てて,その技術パフォーマンスを分析する。主要な結論は以下の通りである。これらの国はバルト諸国とともに,ハイテク輸出の拡大,情報技術の普及で証拠付けられるように外国技術の吸収という面で大きな成果がもたらされている。研究開発は縮小したが経済の基礎条件から見て過小な水準ではなく,他のOECD諸国の経験から外国直接投資は長期的には研究開発の水準を減少させる可能性も否定できないが,少なくとも国内企業がその効率的な企業体制を整備するまではそれを下支えする効果がある。しかし,これらの国々の特許生産性で評価した研究開発効率は依然著しく低く,グローバルに競争的な研究開発体制の構築は今もなお時間を要する課題であることも同時に明らかとなった。