抄録
本研究は, 中学校中堅教師のストレスの特徴とその予防について検討することが目的である。公立中学校の法的研修である10 年経験者研修に参加した32 歳〜40 歳半ばの教師を対象に, 中堅教師のストレスに関する質問紙調査を行った。その結果, 中堅教師のストレスの特徴は「, 停滞感」「余裕のなさ」「職場での不全感」「進取への抵抗感」であると整理された。この中堅教師のストレスの特徴は, 性別, 配偶者の有無, 管理職志望の有無に深く関係していることが明らかとなった。すなわち「停滞感」は管理職志望の無い教師に高く,「職場での不全感」は配偶者のいない教師に高いということである。「進取への抵抗感」は男性より女性に高いことが明らかとなった。また「余裕のなさ」では, 性別, 配偶者の有無, 管理職志望の有無によって著しい違いは見られず, 中堅教師全体が同程度の「余裕のなさ」を感じていることが示された。さらに中堅教師のストレスは, バーンアウトに繋がる可能性があることも示された。そして中堅教師のストレスには,『認知操作型コーピング』が有効であり, それに対して中堅教師のストレスを促進させてしまうのは,『問題回避コーピング』である可能性が示された。
以上の結果から中堅教師のストレスへの予防について検討した。