抄録
本研究は,保育者の共感的なかかわりを具体的に把握し,質の高い保育を実現するために,「保育者の共感的かかわりの態度・姿勢」尺度を作成することを目的とする。尺度作成にあたっては,理論的に作成された「保育者の共感的かかわりの態度・姿勢」項目を用いて調査を実施し,尺度項目の信頼性及び尺度としての妥当性について検討した。尺度項目の精選及び信頼性・妥当性の検討は,6つの統計分析(項目反応分布の確認,GP 分析,I-T 分析,探索的因子分析,信頼性分析,確証的因子分析)で行った。なお決定した項目について,既存の「保育者の保育姿勢尺度」との相関を算出し基準関連妥当性を検討した。その結果,「子どもへの畏敬」「ケアリングに基づかない子ども理解」「共感的理解及びかかわり」「子どもの向善性の肯定」の4つの構成概念からなる「保育者の共感的かかわりの態度・姿勢」尺度(15 項目)として,一定の妥当性のある尺度が作成された。