抄録
本研究は,中学生96 人を対象に,自己決定理論を基盤とした1人1台の情報端末の活用と協働的な学習を組み込んだ社会科(公民的分野)の授業実践を行い,その成果を自律性の欲求,有能性の欲求,関係性の欲求及び学習動機づけと関連づけて検討することを目的として行われた。学習動機づけの下位尺度として,内的調整,同一化的調整,取り入れ的調整,外的調整が含まれた。相関分析の結果,内的調整と同一化的調整が3欲求と有意な相関を示した。これらの結果をもとに自律的動機づけ及び3欲求の向上を目的として,情報端末の活用と協働的な学習を取り入れた授業実践を行った。その結果,内的調整,同一化的調整及び3欲求の向上が見られた。自由記述調査では,3欲求に関して61.2%の記述が見られた。本研究の結果から,端末を活用する協働的な学習を行うにあたって,3欲求を支援することの重要性が示唆された。