2023 年 4 巻 p. 70-76
2015年より「ひきこもり相談窓口」を設置し,家族の苦悩に向き合ってきた。親が子の面倒を看ることができなくなったとき,家族に危機的状況が訪れる。パワーバランスが崩れ,攻撃的になってしまう子ども,事態を悪化させないために腫れ物に触るような対応をせざるを得ない親,家族だけで問題解決はしないことはわかっていてもその悪循環から抜け出せず,地獄のような毎日を送ってしまうのである。8050問題は,ある意味,支援が行き届かなかった結果である。しかし,親の心身の機能低下により入院や介護保険サービスが必要となったときに転機が訪れる。ここで支援の中心となるのは,地域包括支援センターやケアマネジャーであり,家族への介入が可能となる。社会から孤立する家族を救える最後のチャンスといっても過言ではない。