抄録
加齢は,年齢,疾患や障害,死という3つそれぞれに伴って生じる複数の変化が相互に関連し合う複雑な過程であると考えられている。80歳以上を指す超高齢期に着目し,研究することで,加齢をより精緻に理解できるだろう。そこで本論文では,超高齢期を理解するため,縦断研究を行うことを勧めることを目的とした。超高齢期を対象とする縦断研究には,脱落が生じやすいといった方法論的課題があり,これまで十分に行われてこなかった。こうした課題の解決策として,ミクロな時間(例:時単位)からマクロな時間(例:年単位)までの複数の時間尺度で同一個人を観察する時系列デザインを用いること,医療や福祉を含む多様な領域の実践データを利用することが提案されている。臨床実践では,疾患や障害の発生直後から死の直前まで少数の個人の心理と行動を精緻に観察することで,加齢を理解する理論と高齢者の支援の発展に寄与するだろう。