2023 年 10 巻 1 号 p. 3-8
要旨:薬価基準には,2つの性格がある.1つが医療保険において使用できる医薬品の品目表としての性格,そしてもう1つがその医薬品の価格表としての性格である.我が国では国民医療費の総額は伸び続けており,その中で薬剤比率は22%前後で推移している.そのため,常に医療保険制度と財源を議論する際に,医薬品の価格に関する問題がついてまわることになる.2016年の秋から2017年末にかけて検討が行われた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」においては,“「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立し,国民が恩恵を受ける「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から,薬価制度の抜本改革に向け,PDCAを重視しつつ,以下のとおり取り組む”と記載されており,今後も引き続きの議論がされていくことになる.海外各国の薬価制度も参考にしながら,日本の医療保険制度に即しつつ医薬品提供体制を確保した薬価制度を検討していかなければならない.