抄録
言語発達は,複数の領域が関連しあいながら高次化していく過程である。LC スケールは主に乳幼児期を対象とし,「語彙」「語連鎖・統語」「語操作・談話」「音韻意識」といった言語面の領域と「コミュニケーション」領域の課題を設定し,多面的に発達を評価する。学齢に達すると,教師の教示や説明の理解,語彙や定型句等の知識,文法的な表現がより強く求められるようになる。LCSA は10 の下位検査を設けており,言語領域間の発達的
バランスを評価する。LC スケールとLCSA は,幼児期から学齢期にかけての言語発達を縦断的に追跡する研究ツールともなる。これらを用いた研究からは,幼児期の評価結果は学齢期の発達水準を予想する最も強い指標であることが明らかになり,早期診断の重要性が改めて示された。その一方で,母親の「語りかけ」の頻度やスタイル,「読み聞かせ」や「読書」経験がLC 指数やLCSA の成績に影響を与えているという言語発達モデルが示された。