抄録
新生児聴覚スクリーニング検査により出生直後より一側性難聴の診断が可能となり,その後の発達段階に応じた助言が一層必要である。生涯発達段階における聞こえの障害状況の変容を明らかにするために,一側性難聴当事者の叙述を質的に分析した。就学までに難聴の診断を受けた一側性難聴成人12 名を対象として半構造化面接を行った。得られた叙述データから106 の概念を生成し,内容的に類似した概念を7種のカテゴリーに分類した。騒音下聴取に関する概念が最も多く,騒音下にて最も困難感が高い傾向が示された。聞こえの障害場面に関する発達的変容では,年代が上がるにつれ困難場面が具体化かつ不可避的となる傾向を示した。特に社会人以降に,情報の高次化に伴い,聴取場面が複雑化し,問題が顕在化することが明らかとなった。成人期の障害状況に対処していくため,診断期からその後の発達経過を見据え,継続した支援や助言が重要であると考えられた。