聴能言語学研究
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失語症のグループ訓練
横張 琴子
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1996 年 13 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

失語症のグループ訓練は,心理的改善や社会性の向上,コミュニケーションの活発化に寄与する補助的訓練として,個人訓練終了後に実施されることが多く,個人訓練に代りうるものではないといわれてきた.筆者らは,障害のタイプと重症度を同質にしたグループを編成し,言語機能改善をもめざしたグループ訓練を,可能な限り発病初期から実施してきた.(1)仲間作りや社会性の向上をめざした談話,(2)刺激-反応タイプや,(3)ゲーム形態の言語訓練,(4)リズム体操と斉唱,(5)書道,絵画の実技指導を含むさまざまな趣味育成,(6)患者,家族の生活活性化,(7)個別のテキストを用いた家庭学習指導,(8)ステップ別カードによる日記指導などを取り入れた多面的指導を継続した結果,QOLの向上とともに,狭義の言語機能改善も得られた.グループ訓練は失語症治療において,有効性の高い手段と考える.

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