抄録
脳性麻痺における言語臨床の終了に関わる要因として「障害の多様性」「指導内容の発展」「療育システムの発展」の3項目をあげ,考察した.脳性麻痺131名において就学開始時に言語臨床を終了したものは86名,継続したものは45名であった.終了と継続を決定した根拠は言語治療による専門的な指導が必要かどうかであり,背景には脳性麻痺における「障害の多様性」が影響していた.就学後における指導継続期間の最大は12年であり,食事指導やAAC指導(Augmentative and Alternative Communication Approach)に長期間を要する傾向にあった.指導の長期化は「指導内容の発展」に起因すると考えられた.さらに長期化する療育を実現するためには「療育システムの発展」が必要であると考察した.