聴能言語学研究
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〈言語聴覚障害とその近接する領域〉自己表現としての箱庭
吉田 耕治
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2002 年 19 巻 1 号 p. 52-56

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抄録
心理療法の技法の1つである箱庭療法について,その概要と実際例について報告した.概要については,(1)技法の特徴として,視覚イメージという非言語的表現を用いることなど,(2)箱庭療法の用具,(3)実施方法,(4)箱庭療法の適用について,(5)入の方法,(6)箱庭療法の理論的背景として,クライエントと治療者の関係および,自己(セルフ)の表現としての治療的意義について述べた.実際例として,(1)緘黙,吃音という言語的問題を主訴とした幼稚園男児の箱庭表現など,(2)発達障害を主訴とした小学生男児,(3)不登校を主訴とした高校生男子の箱庭作品を呈示した.特に(2)(3)の事例では,円を中心としたマンダラ様の箱庭作品に注目した.なぜならば,これは自己(セルフ)の象徴的表現であり,箱庭療法では,この表現を経て心の成長,発展がなされると考えられている重要なイメージだからである.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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