聴能言語学研究
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鼻咽腔閉鎖不全を伴った後天性運動障害性構音障害患者における軟口蓋挙上装置の効果
山下 夕香里今井 智子
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1990 年 7 巻 1 号 p. 44-54

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抄録
鼻咽腔閉鎖機能不全を伴う後天性の運動障害性構音障害患者44例における軟口蓋挙上装置(palatal lift prosthesis)の効果について検討するために,鼻咽腔閉鎖機能検査,発声発語機能検査,発語明瞭度検査を行ったところ,次のような結果が得られた.
(1) PLP装着によりblowing時間,blowing ratio,呼気持続時間に改善がみられたが,呼気持続時間の改善はblowing時間の改善に比べて少なかった.また発声持続時間とoral diadochokinesisにも改善がみられた.
(2) blowing検査顕著改善例21例のうち,発語明瞭度が10%以上改善した症例は10例(47.6%)であり,これらの症例ではPLP装着による鼻咽閉鎖機能の改善に伴って構音機能の改善がみられた.
(3) PLP完成時,6ヵ月時,12ヵ月時にPLP非装着時のV-Pgapの減少がみられた3例では,PLP非装着時のblowing ratio,呼気持続時間,発声持続時間,および発語明瞭度にも改善がみられた.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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