聴能言語学研究
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口蓋裂患者の開鼻声の音響分析と聴覚判定結果との比較
鬼塚 富久子
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1990 年 7 巻 1 号 p. 55-63

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抄録
口蓋裂患者の開鼻声の音響的特徴と,臨床場面で開鼻声を評価する際の聴覚判定との相関関係を調べるために,成人の口蓋裂患者および非口蓋裂で正常音声を有する人の母音を音響分析し,言語治療士による開鼻声の聴覚判定との関連をみた.
(1) 正常群と口蓋裂群とで,母音のフォルマントを比較した結果,各母音ならびに各フォルマントによって,周波数に違いがあった.
(2) 「い」は口蓋裂群の方がF2,F3のルォルマントの平均値が低く,「う」は逆に口蓋裂群の方が高くなった.
(3) 開鼻声の音響分析結果と,聴覚判定結果とを比較すると,男性症例の一部のみ,すなわち「あ」のF1,F2,「い」のF2,F3,「う」のF1に相関関係がみられた.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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