抄録
東京女子医科大学形成外科言語外来と東京大学耳鼻咽喉科言語外来において,1991年から2000年の10年間に,系統的構音訓練を行い,構音訓練を終了した機能性構音障害症例99例の構音訓練成績,および訓練について検討した.その結果は以下の通りである.(1)訓練開始年齢は4歳1ヵ月から31歳6ヵ月であった.(2)構音訓練の対象となった構音の誤りは,音の置換が58例と最も多く,ついで側音化構音が36例,口蓋化構音が12例,声門破裂音が7例,鼻咽腔構音が4例,省略が5例であった.(3)訓練の結果,88例(88.9%)が「正常」,11例が「ほぼ正常」となった.(4)訓練期間は86例(86.9%)が1年6ヵ月以内に終了していた.(5)側音化構音は音の置換より訓練期間が長い傾向がみられたが,訓練音の数も多かった.(6)側音化構音の6歳以下の症例は7歳以上の症例より訓練期間が長かったが,訓練音数も多かった.(7)訓練終了年齢が7歳以上の症例に「ほぼ正常」にとどまる症例が多かった.