コミュニケーション障害学
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〈症状から学ぶ〉「発音不明瞭」を主訴に言語外来を受診した2症例の言語症状と経過
今富 摂子
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2004 年 21 巻 2 号 p. 106-112

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抄録
発音不明瞭を主訴とし,複雑な言語症状・経過を示した2症例を経験した.症例1はヌーナン症候群の8歳男児で,5歳時には鼻咽腔構音,構音操作の未習得が主要な問題であったが,8歳時には混合性鼻声,嗄声が顕著となり,鼻咽腔構音のほか,イ列音に側音化構音が認められた.諸検査の結果咽頭に形態異常があることがわかった.症例2は6歳男児で,一貫性のない特有な音の誤りを示した.諸検査の結果,聴覚情報処理や音韻操作の問題が明らかになったことから,かな文字を中心とした指導を行ったところ会話明瞭度が改善した.以上より,症例ごとに構音障害のメカニズムを解明することの必要性が示唆された.
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