コミュニケーション障害学
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〈地域社会における言語聴覚士の新しい取り組み〉言語療法に出会って:地域における言語療法についての失語症家族の報告
池上 佳代子
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2005 年 22 巻 1 号 p. 37-40

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抄録
くも膜下出血によって発症した一人の失語症者が,急性期,回復期を病院ですごした後,在宅生活に移り,そこで言語訪問指導をはじめとする地域ケアを受け,自律的生活をすすめている.その実際を家族が報告した.急性期病院では,言語聴覚士の不在により情報が不足し,回復期病院では,不適切なケアにより,不安と混乱に陥った.しかし,その後の地域での迅速なサービスの導入と言語聴覚士による訪問言語指導を受け,安心が得られたと同時に言語機能および精神活動が改善していったこと,さらに,集団への参加や自主グループなどの参加を通して本人の自信と意欲がでてきたことを報告した.また単に日常生活が問題なく運ぶだけでなく,より豊かで自律的な生活をするためのアプローチが重要であることに気づき,失語症者のための持続的な地域ケアの充実が求められることなど今後の課題についても言及した.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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