コミュニケーション障害学
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〈言語学と言語障害学との接点〉コミュニケーション発達評価のための方法論的検討:健常児と知的障害児の図版に対する叙述の分析を通じて
崎原 秀樹大和田 千代子飯高 京子
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2005 年 22 巻 2 号 p. 116-126

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抄録
本調査では,まず就学前後児に対して,母親が乳児にご飯を食べさせている図版(国立国語研究所,1977)を提示して叙述させる課題を実施した(研究I).小学校1年2学期開始前後になると,ことばだけで図版内容を適切に表現する2次的ことば(岡本,1985)の使用者が増加した.1問目の叙述で3要素(母親,乳児,ご飯)の関係を表現するのに必要な3項動詞未使用の者でも「母親」という主題を提示すると,3項動詞使用が促されるのが示唆された.次に知的障害児3例の叙述を縦断的に追跡し(研究II),彼らのコミュニケーションや言語発達上の問題について討論した.最後に今回採用した峰岸(2004a,2004b)のコミュニケーション障害の記述・評価のための基本的な考え方およびその項目は,1)やりとりを通じた叙述に対する定量的な分析,2)それらをふまえた評価法の開発に向けた発達論的検討を行う上で,有効な指標になることが示唆された.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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