コミュニケーション障害学
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幼児の非流暢性発話に対する鑑別診断および母親の聴覚判定
前新 直志山崎 和子小林 宏明
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2005 年 22 巻 2 号 p. 73-82

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抄録
本研究では,吃音を主訴とした幼児1例(2歳11ヵ月)の非流暢性発話に対する評価を行った.調査1として2年間かけて吃音と正常非流暢性の鑑別を行い,調査2は調査1で検討した幼児の非流暢性発話に対する母親196名の聴覚判定を行った.本児の非流暢性発話について,その症状特徴や頻度の観点から検討した結果,吃音ではなく正常非流暢性と判断された.また,その正常非流暢性発話に対して違和感を感じた母親(69.4%)は有意に多かったが,吃音と判定した母親(39.8%)は有意に少なかった.しかし,違和感を感じた母親136名のうち,吃音と判定する母親(57.4%)が有意に多いことが示された.違和感および吃音と判定してしまう条件として,音や音節あるいは単語の「繰り返し」症状が考えられた.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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