抄録
本研究では,吃音幼児に対し,早期に介入する第二次予防を行っている.予防的介入の目標として,環境からの圧力,またそれら圧力に対する子どものsensitivityを軽減することとした.8ヵ月の治療の結果,環境からの圧力と子どものsensitivityの双方に,ある程度の改善が認められ,それに伴い吃症状も消失した.本研究は,言語発達の遅れや構音の問題等の発達的要因をもたない,吃症状が軽度の事例を対象とした早期の第二次予防が,悪化を予防するだけではなく,吃症状を消失させうることを示唆するものである.