コミュニケーション障害学
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〈子どものセラピィ〉ダウン症児たちとの関わりを通してみたSTの役割
久保田 功
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2006 年 23 巻 1 号 p. 47-51

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抄録
ダウン症児たちとの長い期間にわたる関わりを通して筆者の知的障害をもつ子どもへのセラピィのあり方とSTとしての役割について考えた.以前は彼らに対して狭い範囲の援助しか引き受けられなかった筆者が,次第により広い援助のニーズと可能性に気づき,臨床のスタイルを変えていった.現在彼らに対する役割として,ことばが出るまでの時期は「親と子が安心して生活やコミュニケーションを楽しめるように」サポートする役割,ことばが出てからは「本人のペースを尊重しつつ,できることを増やす」よう導く役割,そして実用的なコミュニケーション能力を身につけた後の長いつきあいの中では「社会とのインターフェイス」を担う役割があるのではないかと考えている.それらの役割を実現するためには養育者に信頼されること,子どもに「一番楽しく,刺激的なコミュニケーション相手である」と認めてもらうことが大事であろうと考えている.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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