コミュニケーション障害学
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〈コミュニケーション障害と発達心理学の接点〉母子間言語交渉と言語発達:言語コミュニケーション指導への示唆
大伴 潔
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2006 年 23 巻 2 号 p. 126-135

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抄録

近年の言語指導研究の多くは,共同注意行動を基盤にしながら,子どもの自発話に適切なフィードバックを与えるかかわりを通した相互交渉型の言語指導を検証している.相互交渉型アプローチの背景には,大人が子どもと同調して成立する共同注意や,子どもの発話への拡張模倣や修正が言語獲得において重要な役割を果たしているという近年の基礎研究からの知見がある.さらに他者の意図や情動の認知も語彙獲得に関与していることも明らかになっている.効果的な言語発達指導には,ダイナミックな対人文脈を中心に,聴覚的経験の密度を高めるだけではなく,目標語・目標文型の設定や,発話意図が尊重される機能性の高い場面設定が求められるであろう.

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