コミュニケーション障害学
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〈食べることが困難な子どもたちへの支援を考える〉学齢期における支援
山川 眞千子
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2007 年 24 巻 2 号 p. 119-128

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抄録
脳性麻痺児が有する脳損傷は,経年的にその範囲は変わらないが機能障害は拡大の一途をたどる.学齢期は身体の成長が著しいため,骨関節の変形・拘縮や運動機能の退行,呼吸障害,摂食・嚥下障害などの二次障害が出現しやすい.この時期の摂食・嚥下障害の特性について機能低下を中心に論説した.機能低下の要因として,身体的成長を背景とする摂食・嚥下器官の協調運動の困難さの増大,頸部の筋緊張の亢進や低下,口腔・咽頭部における感覚低下や形状の異常性の増大,呼吸運動の異常性の増大,胃・食道逆流現象の出現が考えられる.また学齢期でのSTの関与の乏しさが機能低下の気づきと対応を遅れさせており,脳性麻痺児の発達特性として摂食・嚥下機能の低下を十分に認識し,適切な時期に適切な支援ができることが求められる.他の医療スタッフとの連携,家族や教育機関とのネットワーク作りの重要性についても解説した.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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