コミュニケーション障害学
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知的障害者間で視覚シンボルを使うメールシステムの開発
藤澤 和子清田 公保梶原 尚子吉村 吟子
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2007 年 24 巻 2 号 p. 79-87

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抄録
文字が十分に使用できない知的障害者間でメールの交換を可能にするために,視覚シンボルを使ったメールシステムを開発し,彼らの学習結果を通してシステムの有効性を検証した.システムには,送受信の理解とシンボルを用いたメール文の作成を援助する機能を設けた.手続きとして,顔写真を表示する送受信者の選択インタフェースやメール作成画面の機能,複数のシンボル群から必要なシンボルを検索できる機能,助詞や文字の挿入機能などを開発した.知的障害のある生徒6名を対象に,メール交換の学習を行った結果,4名が送信相手にメッセージ性をもつメールを送信した.その内の3名が受信メールに対応する返信メールを送り,送受信の理解を援助するシステムの有効性が示された.しかし,2名は文型が未完成な受信メールの理解に援助を必要とし,シンボルでメール文を作成するための構文能力の不十分性を援助するシステム開発の必要性が考察された.
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© 日本コミュニケーション障害学会
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